夫婦で組むペアローンのメリット・デメリットを徹底解説|後悔しない住宅ローンの考え方

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夫婦で組むペアローンとは?

ペアローンとは、夫婦それぞれが住宅ローンを1本ずつ契約し、合計2本のローンで住宅購入する仕組みです。例えば5,000万円の物件を購入する際、夫が3,000万円、妻が2,000万円といった形で負担を分けて借り入れます。双方が互いの連帯保証人となるため、片方が返済不能となった場合は、もう一方が返済を引き継ぐ必要があります。

似た仕組みに「収入合算」がありますが、こちらはローンはあくまで1本で、配偶者の収入を合算し借入可能額を増やす方法です。ペアローンは2本、収入合算は1本という点が大きな違いです。

ペアローンを選ぶ人が増えている理由

住宅価格は過去10年で大幅に上昇し、特に都市部では一般的な収入では購入しづらい価格帯となっています。その影響から、夫婦の収入を合わせて住宅ローンを借りるペアローンの利用率は年々増加しています。

特に20〜30代の利用が目立ち、共働き世帯の増加とともに今後も利用者は増えていく可能性があります。

ペアローンのメリット5つ

① 借入額を増やせる

単独では届かない価格帯の物件でも、夫婦2名の収入を元に借入額を増やすことが可能になります。これにより選択できる物件の幅が広がります。

② 返済条件を柔軟に設定できる

2本のローンを別々に組むため、夫は変動金利・妻は固定金利といった金利設計が可能です。リスク分散という点で有利な場合があります。

③ 夫婦どちらも団体信用生命保険(団信)に加入できる

収入合算では団信加入は契約者のみですが、ペアローンは2名とも加入できます。万が一の際、片方のローンがゼロになるため、返済リスクを抑えられます。

④ 住宅ローン控除を2人分利用できる

2本のローンが存在するため、条件を満たせばそれぞれが控除を受けられます。単独ローンでは得られない節税の可能性があります。

⑤ 売却益3,000万円控除が2名分使える

将来住宅を売却して利益が出た場合、通常3,000万円が非課税となる特例が、ペアローンでは最大6,000万円まで適用可能になる場合があります。

ペアローンのデメリット5つ

① 連帯保証による返済リスク

どちらかが返済不能になった場合、もう一方が全額を返済しなければならない可能性があります。借り入れ額の設定は慎重に行う必要があります。

② 初期費用が2本分かかる

契約書印紙代・保証料・司法書士費用などがローン2本分発生します。単独ローンより費用が高くなる点は注意が必要です。

③ どちらかに不幸があっても片方の借金は残る

団信で片方のローンはゼロになりますが、もう一方は残ります。保険設計と返済可能額の見極めが欠かせません。

④ 離婚時は非常に複雑

共有名義のまま返済継続するのは現実的ではなく、売却や買取が必要になります。相互同意が得られず売却できない、住宅ローンが残る、など問題が発生しやすい点は覚悟が必要です。

⑤ 収入悪化や出産などライフイベント時の負担増

ペアローンは借入額が大きくなりやすく、出産・リストラ・病気などの変化が起きると返済が困難になる場合があります。夫婦どちらかの収入が落ちても返せる設計が理想です。

ペアローンがおすすめできる人の条件

メリット・節税・団信を最大限活かせる人ほどペアローンは効果を発揮します。具体的には以下の条件に当てはまる人です。

  • 2名とも安定した収入を継続できる見込みがある
  • ライフプラン、金利、住宅価値を理解して判断できる
  • 万が一の保険・貯蓄を確保できる
  • 住居が将来売却益を見込めるエリアにある

ペアローンは決して「誰にでも得ではない」選択となります。メリットを理解し、リスクを踏まえたうえで検討することが大切です。