老後資金は何%貯蓄すべきか?今の株高を鵜呑みにしない資産形成戦略
米国株市場はS&P500や主要株価指数が過去最高値を更新し続け、強気相場が続いています。しかし、この状況が永遠に続くと考えてしまうと老後資金の計画で大きな誤算を生む可能性があります。
特に投資を始めたばかりの人ほど「株はずっと上がり続ける」「貯蓄を減らしても問題ない」と考えてしまいがちですが、相場が下落すれば老後の暮らしに大きく影響します。本記事では、老後資金計画において注意すべき3つのポイントと、現実的な貯蓄・投資の目安を詳しく解説します。
理由① 今の株式リターンは歴史的に見ても高すぎる
米国株の過去10年の平均リターンは約15%と非常に高水準でした。しかし、長期平均は約10.3%であり、近年の値動きは明らかに「できすぎた相場」とも言えます。この数字を基準に老後計画を立てると、将来期待値が下がったときに資金不足に陥る可能性が高まります。
理由② インフレを考慮しないと資産は実質的に目減りする
仮に投資リターンが10%でも、物価が7%上昇したなら実質的な増加は3%にすぎません。給料が増えても支出の伸びが上回れば生活は苦しくなり、実質賃金は低下します。
過去30年間の株式リターンをインフレ調整後で見ると、期間によっては実質リターンが0.9%しかなかった時期も存在します。このような期間に当たると、投資だけでは老後資金が不足する可能性があります。
- 1932-1962年:実質0.9%
- 1952-1982年:実質4.7%
- 1993-2023年:実質6.9%
「相場は常に好調」と想定するのは非常に危険であり、長期的な視点でリスクに備える必要があります。
理由③ 老後の支出は必ずしも減らない
一般的には「退職後の支出は7〜8割に減る」と考えられていますが、研究データでは老後の支出は現役時の93〜97%程度に留まるケースが多いとされています。
支出が減るのは余裕があるからではなく、貯蓄不足で生活水準を下げざるを得ないケースが多いのが実情です。「老後は支出が減る」という前提に依存した資金計画は非常に危険です。
では老後のために何%貯蓄すべきか?
現役時と同じ生活水準を維持する前提で、働く期間30年+引退後30年=合計60年と仮定します。この場合の必要貯蓄率と期待リターンの関係は次の通りです。
- 実質リターン5% → 貯蓄率12%で老後も現役並みの生活が可能
- 貯蓄率20%確保できれば → リターン3%でも十分成立
期待リターンを高く見積もりすぎず、現実的な利回りを前提に計画することが重要です。
老後資金形成の結論
老後の計画を立てる際に避けるべき3つの思い込みは以下の通りです。
- 現在の高リターンが永続すると考える
- インフレを無視する
- 老後は支出が大幅に減ると決めつける
老後の生活水準を維持したいなら、以下のいずれか、または複数を組み合わせる必要があります。
- 投資割合を増やしリスクを許容する
- 貯蓄率を高める
- 可能な限り長く働く
人生は一度きりです。未来の自分が困らないよう、今できる最適な選択を積み重ねていきましょう。
