急増する「リアルタイム・フィッシング詐欺」から資産を守るための実践的対策ガイド

/ 5段階評価中

近年急増するリアルタイム・フィッシング詐欺とは

金融サービスを装った不審なメールやSMSに注意喚起が広がっています。多くの人が利用する証券会社や金融機関の名をかたるメッセージが増加しており、利用者を偽サイトへ誘導して情報を盗み取る手口が巧妙化しています。

一般的なフィッシング詐欺は、偽のログインページでIDやパスワードを入力させ、後日不正ログインを試みる手法でした。しかし近年は、入力された情報をその場で即座に悪用する「リアルタイム型」が増えています。

典型的なフィッシング詐欺の手口

フィッシング詐欺の多くは、実在する企業を装うメッセージから始まります。例えば以下のような文面です。

  • 「セキュリティ確認のため、IDとパスワードの再入力をお願いします。」
  • 「アカウントがロックされています。24時間以内に認証してください。」
  • 「お客様の口座が不正アクセスを受けています。補償のために確認情報を入力してください。」

メッセージのリンクから偽サイトへ誘導され、そこにIDやパスワードを入力してしまうことで情報が盗まれます。サイトの見た目は本物とほとんど区別がつかず、URLも巧妙に似せられるため、多くの人が気付かず入力してしまうのです。

2025年のフィッシング被害は過去最高ペース

2025年に入ってからもフィッシング報告件数は増加傾向にあります。特に春以降は急増し、証券口座を狙った攻撃が再び活発化しています。

以前は減少傾向にあった時期もありましたが、現在の攻撃はより高度化しており、従来の対策だけでは防ぎきれないケースが出てきています。

二段階認証すら突破される「リアルタイム型」の仕組み

従来のフィッシング詐欺では、仮にIDやパスワードを盗まれたとしても、ログイン時の二段階認証(ワンタイムパスワードなど)が壁となり、不正ログインを防ぐことができていました。

しかしリアルタイム型の詐欺では、被害者が入力した情報が数秒以内に犯人へ送信され、同時進行でログイン操作が行われるため、二段階認証コードまで偽ページに入力させられ、突破されてしまいます。

例えるなら、「家の鍵番号を盗まれて後日侵入される」のではなく、「鍵番号を入力した瞬間に家の前で待ち構えている犯人がそのまま侵入する」ようなイメージです。

リアルタイム・フィッシング詐欺への有効な対策

リアルタイム型は従来より危険度が高いものの、正しく対策すればリスクは大幅に下げられます。以下に実践すべき対策をまとめます。

1. 多要素認証(二段階認証)は必ず設定する

突破される事例があるとはいえ、多要素認証は依然として重要な防御手段です。ほとんどの不正ログインはこれで防げます。

2. メールやSNSのリンクは絶対にクリックしない

フィッシング詐欺のほとんどは、メールやSNS内のリンクから始まります。正規サービスへアクセスする際は、必ず以下の方法を徹底しましょう。

  • ブックマークした公式サイトからアクセスする
  • 公式アプリから利用する
  • メール本文のURLからログインしない

3. メールサービスはGmailを推奨

Gmailは迷惑メールや詐欺メールのフィルタリング性能が非常に高く、多くの詐欺メールを受信段階で遮断してくれます。他のメールサービスと比較しても、詐欺メールの防御力が圧倒的です。

4. パスワード管理ソフトを活用する

パスワード管理ソフトは、登録済みURLと異なるサイトには自動入力しません。そのため、偽サイトにアクセスしても不自然さに気づきやすく、詐欺を防ぐことができます。

5. セキュリティソフトより、日常の対策が優先

市販のセキュリティソフトを導入するより、上記の対策を徹底するほうが効果的です。OS標準のセキュリティ機能も向上しており、基本的な対策で十分防御可能です。

守りを固めれば資産は守れる

ネット詐欺は年々進化しているため、私たちも同じように知識と対策をアップデートし続ける必要があります。大切なのは、個別の対策だけでなく、複数の対策を組み合わせて実施することです。

メールのリンクを踏まない、Gmailへ一本化する、パスワード管理ソフトを使う。こうした基礎的な対策を習慣化するだけで、被害を防ぐ確率は大きく下がります。

資産を守る力は、一度失うと取り返すのに膨大な時間と労力が必要です。小さな対策を積み重ね、安心して生活できる環境を整えていきましょう。