株式分割が12年ぶりの高水準に
2025年4月から9月にかけて、日本企業の株式分割件数が過去12年で最も高い水準となり、合計124件に達しました。株式分割が増加すると、市場の活性化が進み、投資家にとってチャンスが広がると考えられています。では、なぜ今これほど分割が増えているのでしょうか。
株式分割とは?ピザの図で理解する仕組み
株式分割は、既存の株式を複数に分けることで、一株あたりの価格を下げ、投資しやすくする仕組みです。たとえば、1枚のピザを5枚に切り分けるように、1株を5株に分けても企業の価値そのものは変わりません。
仮に、ある企業の株価が1株2万円で、最低購入単位が100株だとします。この場合、最低投資額は200万円です。しかし株式分割で100株 → 500株に変更されると、最低投資額は40万円に下がり、個人投資家が参入しやすくなります。
株式分割が増えると何が起きる?
株式分割が増えると、市場全体の流動性が高まり、売買の活発化につながります。投資家にとっても、少額から投資できる選択肢が増えるため、投資の敷居が下がるというメリットがあります。
株式分割が増加している2つの背景
1. 株価上昇による最低投資額の増加
株価が上がるほど最低投資額も増えていきます。200万円が必要だった企業が、株価上昇でさらに高額になるケースも珍しくありません。これでは新規投資家が参入しにくく、企業側は株式分割を通じて投資のハードルを下げようとします。
2. 市場改革による後押し
近年、日本の証券取引所は市場改革を進めています。最低投資額を下げることで投資家層を拡大し、市場を活性化させる狙いがあります。海外市場では1株単位で購入できる国もあり、それに比べて日本は100株単位のため、相対的に最低投資額が高くなりやすい傾向があります。
株式分割を行う企業が多い理由
長期的に成長してきた大企業は、価値向上の過程で株価が上がり、何度も株式分割を行ってきました。株式分割は「企業が成長しているサイン」と捉えられることも多く、投資家にとってもポジティブな材料となります。
市場改革で日本株市場はどう変わる?
日本市場では市場区分の見直し、企業統治改革、企業に対する収益性向上の要請など、様々な取り組みが行われています。これらの施策が徐々に浸透してきた結果、市場の透明性や効率性が向上し、株式分割の増加にもつながっていると考えられます。
株主の存在が企業の成長を後押しする
株主からの期待や市場の評価は、企業経営に大きな影響を与えます。企業の成長、従業員の努力、市場関係者のサポート、制度改革など、さまざまな要素が相互に作用しながら株価は形成されています。
投資家は、こうした仕組みの中で資産を増やしていきます。自分が何もしていないように見えても、どこかで企業や市場が価値向上のために動いてくれているというわけです。
まとめ:株式分割は市場活性化の大きな追い風
株式分割が12年ぶりの高水準を記録した背景には、株価上昇と市場改革の2つがあります。最低投資額が下がることは、投資家にとって参入しやすくなる大きなメリットです。
株式分割にはデメリットも存在しますが、市場の流動性向上という点ではポジティブなニュースと言えるでしょう。長期的な視点で投資を続けることで、市場全体の成長の恩恵を受けることができます。
